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イシューからはじめよを読んだ感想と要約|安宅和人レビュー

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今回は、安宅和人さんが書いてヒットした「イシューからはじめよ−知的生産のシンプルな本質」の書評をお届けします。

イシューからはじめよ−知的生産のシンプルな本質を一言でご紹介すると、とにかく行動が遅く悩みがちな人がすぐに行動に移すことができるようになります。
読了後は、本質を把握してシンプルに目標に向けて行動したくなります。

イシューからはじめよはこんな方にオススメ

イシューからはじめよはこんな方にオススメ

 

  • 仕事が遅くて悩んでいる人
  • 生産性を向上させたい人
  • 周りから一目置かれるビジネスパーソンになりたい人

イシューからはじめよの概要

出版日ページ数読了に必要な時間数
2010年12月11日243ページ約3時間

イシューからはじめよの詳細


本書では、「イシューからはじめる」といった仕事ができるビジネスパーソンの最強の思考法を紹介しています。普段何気なく仕事をしていると、「この仕事は意味があるのか」「自分はどうしてこんなに仕事が遅いんだ」と悩むことがあるかと思います。本書を読めば、そのような悩みを解決し、仕事の生産性が劇的に向上するでしょう。

みなさんは、「イシュー」という言葉の意味が分かりますか?「イシュー」を知っているのか知らないのかで、仕事での生産性が100倍変わってきます。
本書を読めば、「イシュー」とは、何かが分かり、「仕事が早い」と言われるビジネスパーソンになることができるでしょう。

イシューからはじめよの著者プロフィール

著者:安宅和人(あたかかずと)
1968年富山県生まれ。
東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社して4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学後、平均7年弱かかるところ3年9ヶ月で学位取得(Ph.D.)。
2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域における中心メンバーの1人として、飲料・小売・ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直し、商品・事業開発に関わる。2008年よりヤフー株式会社に移り、2012年よりチーフストラテジーオフィサー。事業戦略課題・大型提携案件の推進に加え、市場インサイト部門、ビッグデータ戦略などを担当。データサイエンティスト協会理事。2018年より慶應義塾大学情報環境学部教授。

イシューからはじめよの書籍目次

序 章  この本の考え方−脱「犬の道」
第一章  イシュードリブン−「解く」前に「見極める」
第二章  仮説ドリブン①−イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第三章  仮説ドリブン②−ストーリーを絵コンテにする
第四章  アウトプットドリブン−実際の分析を進める
第五章  メッセージドリブン−「伝えるもの」をまとめる
おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう

イシューからはじめよのレビューと感想

これから私がイシューからはじめよを読んだ感想を含めながら皆様に良い情報をお届けするための書評を書いていきます。

「イシュー」がないとどうなるのか

「イシュー」とは、「いま、本当に答えを出すべき問題かつ答えを出せる問題」という意味です。

本書では、「世の中で問題かもしれないと言われていることの総数を100とすれば、今、この局面で本当に白黒をはっきりさせるべき問題は、せいぜい2つか3つぐらいだ」と述べられています。つまり、ビジネスにおいて解決しようとしている問題の大半は、重要でない可能性があるというのです。
簡単な例をあげると、あるオーナーがカフェを経営していたとして、オーナーは、カフェの売り上げが上がらない原因について、「コーヒーの質を高くすれば、集客を増やすことができるのではないか?」と考えます。
しかし、前提条件が立地が悪い田舎だとしたら、コーヒーの質をいくら高くしても、集客を増やすことができず、売り上げは上がりません。
これを本書では、「犬の道」と呼んでいます。
「犬の道」とは、問題を愚直に解くことだけを考え続け、そもそもの解くべき問題いわゆる「イシュー」について、全く考えないことをいいます。
このように、解くべき問題「イシュー」を間違え、重要でない問題を解決しても何も進まないのです。

「イシュー」からはじめるー「犬の道」を抜け出すためにはー

みなさんは、「意味のある仕事」とは何を想像しますか?
本書の著者、安宅さんが勤めていたマッキンゼーでは、「意味のある仕事」を「バリューのある仕事」と呼んでいたそうです。本書では、「バリューのある仕事」を「”イシュー度”と”解の質”が高いこと」と説明しています。

イシュー度:自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ
解の質:そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い
※引用:『イシューからはじめよ』(序章 この本の考え方―脱「犬の道」)

多くの人は、「イシュー度」を考えずに、根性論や体力勝負で「解の質」をやみくもに求め続け、「犬の道」にはまってしまいます。逆に「イシュー度」が高ければ、「解の質」も後から上げていくことができ、価値のある仕事に取り組むことができます。

問題は解くべきものだと考えがちですが、まずは解くべき問題を考えることが大切です。つまり、「イシューからはじめる」ことが「バリューのある仕事」を生み出すために重要なことなのです。

「イシュー」を見極めるコツ


本書では、良いイシューには3つの条件を以下のとおりあげています。

①本質的な選択肢であること
②深い仮説であること
③答えを出せること

①本質的な選択肢であること

「本質的な選択肢であること」とは、問題を解決した時に、どのぐらいの影響力を与えることができるかということです。

例えば、ある商品Aの売り上げが下がっているとします。
この商品Aの売り上げが下がっているという課題を、「商品Aの商品力が弱いからなのか」あるいは、「商品Aの市場価値そのものが衰退しているからなのか」のどちらかに仮説を立てることによって、今後のとるべき戦略が変わってきます。

「商品Aの商品力が弱いからなのか」が原因の場合、商品Aの商品力を上げれば、売り上げが伸びる可能性があります。しかし、「商品Aの市場価値そのものが衰退している」が原因の場合だと、商品Aに対する顧客からのニーズがそもそもないため、商品力をいくら上げても売り上げは上がりません。

このように原因を究明することで次の取るべき行動がわかったりします。

②深い仮説であること

前提や常識を疑うことで、仮説を深いものにできます。

1つの例としてスマートフォンで説明すると、10年以上前は、携帯端末といえばガラ携でした。
しかし、携帯からボタンをなくせば、効率的に操作できるのではないかというイシューの元、スマートフォンが発明され、今では携帯端末といえば、ガラ携ではなくスマートフォンが主流になりました。
携帯にはボタンという常識を疑ったからこそ、スマートフォンという世紀の大発明が生まれたのです。

また、本書でも紹介がありましたが、「太陽が地球の周りを動いている」という天動説を否定し、「地球が太陽の周りを動いている」ことを証明した地動説も深い仮説で生まれた科学の常識なのです。

③答えを出せること

①の本質的な選択肢であることと、②の深い仮説であることの「イシュー」を満たしていたとしても、答えが出せない、或いは答えを出す方法がなければ、全く意味がありません。

イシューを解決することにより、どれだけ変化をもたらせたかが重要であり、解決できないイシューに取り組むのは、時間の無駄なのです。

イシューの特定には、仮説が重要な鍵


では、「イシュー」を特定するためには、どうすればよいのでしょうか?

それは、「仮説を立てること」です。

「イシュー」について検討する際は、漠然と「イシューは何だろうか」と考えてはいけなく、まずは強引にでも「仮説」を立てることが重要です。

本書では、次のような具体例をあげています。

例)「○○の市場価値はどうなっているか?」

これでは単なる設問にすぎず、答えがあいまいになってしまいます。一方、次のように具体的な「仮説」に落とし込むとどうでしょうか。

例)「○○の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」

このようにイシューについて、具体的な仮説に落とし込むことで、必要な情報や分析が明確になります。

また仕事が早い人と遅い人の違いは、”仮説”を立てているかどうかで決まります。
仕事が遅い人は、答えが出ない問題について「悩み」続けます。問題が曖昧なため、いきなり仕事に取りかかり、漠然と情報収集と分析を行います。その結果、かなりの労力と時間をかけてしまうのです。

しかしながら、仕事が早い人は、問題に取り組む前に、具体的な「仮説」を立てます。
具体的な「仮説」を立てることによって、ある程度の方向性が決まってくるため、必要な情報収集や分析を明確に行うことができます。
結果的に、労力と時間をあまりかけずに、仕事を終わらすことができるのです。

みなさんは、与えられた仕事に対して、何も考えず、漠然と取りかかっていませんか?
その仕事は、そもそも「本当に解くべき課題」なのでしょうか?

『イシュー』からはじめ、仮説を立てることから初めてみることで、あなたも周りから一目置かれるビジネスパーソンになっていくでしょう。

イシューからはじめよの書評まとめ

イシューからはじめよを読んでこの思考法を初めて知った時は、目から鱗でした。今までの私は、仕事が山のようにあり、何から手をつけて良いか分からなかったり、なぜか仕事が長引いてしまい残業が他の人よりも多かったりします。
与えられた仕事をただ何も考えずに取り組むだけで、なぜその仕事をするかについては全く考えていませんでした。優秀な人は自ら頭を使って仕事をするため残業をしないで帰っていくことが私には不思議でした。そんな私がイシューを意識して仕事をするようになってからは、やるべき仕事がはっきりし、やらなくていい仕事に対して、エネルギーを注いでいたことに気づくようになったのです。

みなさんも「イシューからはじめる」ことで、無駄な仕事を減らし、「バリューのある仕事」にエネルギーを注ぐことをオススメします。

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