転職をしたいと思っている方向けに人気の本である北野唯我さんの「転職の思考法」の要約と感想をお伝えします。
転職の思考法を一言でご紹介すると、いつでも転職ができる人材になるためにどうするかを学ぶことができます。
転職の思考法はこんな方にオススメ
- 転職を考えているが、転職における判断軸がわからない人
- 1度でも転職を考えたことがある人
- 働いている全ての人々
転職の思考法の概要
出版日 | ページ数 | 読了に必要な時間数 |
---|---|---|
2018年6月20日 | 258ページ | 約2時間半 |
転職の思考法の詳細
転職が当たり前になりつつある時代、本書では、どのような「判断軸」で転職すれば良いかを示してくれ、終身雇用の崩壊やテクノロジーの発展により、私たちの働き方は大きく変化しています。
本書を読むことで、「1度でもこのまま会社にいていいのか?」と考えたことがある人は、転職についての悩みを解決に導いてもらえるます。
転職の思考法の著者プロフィール
著者:北野唯我(きたのゆいが)
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。
就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務した後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年ハイクラス層を対象にした人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画し、サイトの編集長としてコラム執筆や対談、企業現場の取材を行う。
テレビ番組のほか、日本経済新聞、プレジデントなどのビジネス誌で「職業人生の設計」の専門家としてコメントを寄せる。
転職の思考法の書籍目次
第1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ
第2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
第3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
転職の思考法のレビューと感想
これから私が職の思考法を読んだ感想を含めながら皆様に良い情報をお届けするために、ただ本の内容を書くのではなく、例を交えながらわかりやすくレビューをしていきます。
市場価値を意識せよ
自分の市場価値を意識している人は、どのくらいいるでしょうか?市場価値とは、「社会からどれくらい必要とされる人材か」を意味します。
私達が働いている会社では、普段この市場価値を意識することは、ほぼないのではないかと思います。
経団連の会長やトヨタの社長が終身雇用制度の限界を言及しているとおり、日本では、大企業の社員がリストラされるなど、終身雇用制度が徐々に崩壊しつつあります。
もし今働いている会社が倒産した時、あなたのスキルや人脈は、今いる会社の外で通用しますか?あなたは「市場価値が高い」人材と言えるでしょうか?
市場価値の高さは次の3つの軸で決まると、本書では述べられています。
①技術資産:どんな会社からも必要とされる、高い技術力を持った人間
②人的資産:どんな人間とも仲良くなれ、可愛がられる力を持った人間
③業界の生産性:とくに才能がなくても、安定して高い給与をもらい続けられる人間
※引用:『転職の思考法』(第1章 仕事の「寿命」が尽きる前に、伸びる市場に身を晒せ)
①技術資産とは
技術資産とは、技術をどのくらい持っているかであり、他の会社でも通用するスキルのことです。この技術資産は、「専門性」と「経験」でできています。例えば、「専門性」とは、プログラミングやマーケティング、営業、法律、医療などを指し、「経験」とは管理職やマネージャー、経営などの「職種には直接紐づかない技術」を指します。
②人的資産
人的資産とは、人脈だけで仕事を持ってくることができる人のことです。みなさんの周りにも、「○○さんにこの仕事はお願いしたい」と思わせるような人がいませんか?このように社内外問わず、「この人に任せたい」と思われるような人は、人的資産に恵まれている人なのです。
③業界の生産性
業界の生産性とは、「その業界で1人あたりどのくらいの価値を生み出しているか?」ということです。
例えば、同じ20代でも、介護や保育の現場で働く人と、金融業界やIT業界で働く人とでは、同じぐらい忙しいのにも関わらず、年収が何百万円の差がある場合もあります。このように、いくら技術資産や人的資産が高く努力をしていても、そもそもの選ぶ業界を間違えれば、市場価値は高くならないのです。
総務省統計局によると、2019年の転職者は、351万人で、過去最高になりました。転職することが当たり前になる時代。これからの時代を生き抜いていくために、自分の市場価値についてしっかりと考え直し、キャリアプランを立てていくことが重要になります。
どのような業界を選べばよいか
実際に転職する場合、どのような業界を選べば良いのでしょうか?
結論から言うと、「市場価値を高めることのできる業界を選択する」ということです。本書では、特に「業界の生産性」について深く言及されています。技術資産や人的資産がない場合は、「すでに生産性が高い産業」か「エスカレーター式に伸びている産業」を選択することで市場価値が高まります。
反対にダメな選択肢は、「生産性が低く、成長が見込めない産業」で働くこと。つまり「戦う場所選び」が重要なのです。
「伸びている産業」を見極める2つの方法を、本書では、次のように述べられています。
方法①:複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
方法②:既存業界の非効率を突くロジックに着目する
※引用:『転職の思考法』(第1章 仕事の「寿命」が尽きる前に、伸びる市場に身を晒せ)
①複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
ベンチャー企業は、大企業に資金や人数などの規模で勝つことができないため、世の中の流れを常に読み、サービスを提供することを考えています。伸びているベンチャー企業を知ることで、将来的に業界の生産性が高い企業が分かります。
これから伸びるベンチャー企業を探す方法としては、「○○業界 ベンチャー」と検索してみたり、投資家から多額のお金が集まっているベンチャー企業を検索したりしてみてください。伸びているサービスに日頃からアンテナをはることで、業界の生産性が高い企業が分かってきます。
②既存業界の非効率を突くロジックに着目する
例えば、教育業界が代表する例ではないでしょうか。
- 同じ先生が、同じ授業を繰り返し行う
- 紙のプリントをクラス全員分に配布し、授業を行う
明治時代から行ってきた教育方法をそのまま残しており、テクノロジーが発展している現代において、非効率と言わざるを得ません。しかし、そのような非効率を動画学習や電子タブレットを普及させ、解決している企業もあります。
世の中には未だ、印鑑や役所の窓口手続きなど、非効率なことが多くあふれており、そういった業界の非効率を解決できる企業が今後生き残っていくのです。以下2つが今後伸びていく業界を見極める方法です。
- 複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
- 既存業界の非効率を突くロジックに着目する
今の時代で言えば、テクノロジー系の業界は、今後ますます伸びていくことは明らかでしょう。
世界時価総額ランキングのトップ10は、GAFAを中心としたテクノロジー業界がほとんど占めています。スマートフォンが市場に出回り、この10年で世界は大きく変化しましたが、この先の10年も5Gや自動運転、VR、ARで確実に世界は変わっていきます。このように今もっとも生産性が高く伸びている業界は、間違いなくテクノロジー業界と言えるのではないでしょうか。
伸びる業界にピボットする
あなたが今いる会社は、世界の変化が激しさを増していく中、本当に生き残ることができるでしょうか?
本書では、「ピボット型キャリア」の考え方を勧めています。
自分の今いる会社に軸足を残しながら、もう片足を今後伸びる可能性がある会社への転職を考えておく。つまり、自分が所属している業界が衰退する前に、今後伸びる業界に移動するという考え方です。あらゆる産業がテクノロジーによって淘汰されていく中、アナログで変化のない企業はどんどん消えていきます。
進化論で有名なダーウィンも次のような名言を残しています。
「強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ」
変化せずいつかは消えるかもしれない会社に勤めていても、自分の市場価値は高まりません。
逆に言えば、戦う場所選びを間違いさえしなければ、高度なスキルがなくても自分の市場価値は高まっていくのです。
上司をみて、仕事をするのか。あるいは、世の中の流れや市場を見て仕事をするのか。どのような業界も衰退する可能性があるということを念頭に、自分の会社にしがみつくのではなく、次どのような業界に行くかを考えておく必要があるのではないでしょうか。
転職の思考法のレビュー・書評まとめ
本書を読み、今勤めている会社という狭い世界での自分のことしか、見ていないことに気づかされると思います。結局世の中は色々な業界・業種の仕事があり、自分が経験したことのある業界・業種はその中の数個レベルです。本当に自分にあう仕事は何なのかを考えるのもいいですが、それを発見するのは至極難しいもので、一生かけても見つからないことはありえます。そのため、現在成長市場である業界に身を置くことは自分の評価をあげる近道だと思いますし、成果を上げやすいことからも給料も上がる可能性が非常に高いです。
社会が激的に変化している時代において、自分の市場価値すら意識せず、ぼんやりと働いてしまうと人生は豊かになりません。
常に時代の流れを意識し、自分の市場価値や伸びる業界について考えることができれば、よりよい生き方・働き方ができるのではないでしょうか。いつでも転職できるという状態まで市場価値を高め、心にゆとりのある豊かな人生を送っていきましょう。
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